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更新日時:2020/01/21 18:00 (集計:2020/02/08)
2020年度センター試験:物理 分析
設問数は減。思考力を問う問題が増え,全体の難易度は昨年並み。
各分野からの出題である。第1問は問2を除いて基本問題であった。第2問Aは見慣れない形状の部品で回路を作り思考の柔軟性を問う問題であった。第3問Aはドップラー効果に関する思考力を問う問題であり,差がつきそうな問題であった。第4問の力学は基本問題で易しかった。選択問題は,第6問の原子の方が易しかった。
(2014年以前の平均点、設問数の数値は物理Iの値となります。)
年度 |
2020 |
2019 |
2018 |
2017 |
2016 |
2015 |
2014 |
2013 |
平均点 |
60.68 |
56.94 |
62.42 |
62.88 |
61.7 |
64.3 |
61.6 |
62.7 |
前年比(点) |
3.74 |
-5.48 |
-0.46 |
1.18 |
-2.6 |
2.7 |
-1.1 |
-5.3 |
|
設問数
(マーク数) |
第1問 |
5(5) |
5(5) |
5(5) |
5(5) |
5(5) |
5(5) |
6(6) |
6(6) |
第2問 |
4(4) |
4(4) |
4(4) |
4(5) |
4(5) |
4(4) |
5(5) |
4(5) |
第3問 |
4(4) |
4(6) |
6(6) |
5(5) |
4(4) |
4(4) |
4(4) |
4(4) |
第4問 |
4(4) |
4(4) |
5(5) |
5(5) |
4(4) |
4(4) |
7(7) |
8(8) |
第5問 |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
- |
- |
第6問 |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
3(3) |
- |
- |
合計 |
23(23) |
23(25) |
26(26) |
25(26) |
23(24) |
21(21) |
22(22) |
22(23) |
|
以下の平均点、得点率の数値は赤マル・ドットコム自動採点データに基づいて計算しています。
(「難易」は「得点率」を元にしています。昨年度試験との比較ではありません。)
第1問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
計 |
25 |
力のモーメントのつり合い、磁力線、音の干渉、気体の状態変化、運動量の保存 |
普通 |
16.88 |
67.5% |
問1の力のモーメントに関する問は,棒の重心の位置に注意すれば難しくはないだろう。問2は磁力線の様子を表す図を選択させる問であるが,どれも見たことがある図ばかりで惑わされやすい問である。問3のクインケ管の問は問題文にヒントが書かれているので易しい。問4のボイルの法則,シャルルの法則,内部エネルギーが温度に比例することを問う問題は基本問題で易しい。問5の衝突の問題は,運動量の和が0であることに気が付くがどうかがポイントである。
小問集合のなかで問2の正答率は低かった。1つの直線電流がつくる磁場の磁力線の様子は教科書に描かれているが,2本の直線電流による磁力線の様子は描かれていない。しかし,2本の直線電流による磁場の強さを求める問は典型的な問題なので,一度は解いたことがあるであろう。その知識を生かして正しい図を選択する必要がある。
第2問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
A |
10 |
コンデンサー回路 |
やや易 |
7.40 |
74.0% |
B |
10 |
荷電粒子の運動 |
普通 |
5.85 |
58.5% |
計 |
20 |
|
普通 |
13.25 |
66.3% |
A問1は,図1の説明文をしっかり読み,等価回路を考える思考の柔軟性を問う問題である。導体の形に惑わされず,誘電体部分がコンデンサーの極板間になることに注目して回路を考える。差がつきそうな問題である。問2も問1と同様に誘電体の配置に気を付けて,1つのコンデンサーと3つの直列コンデンサーが並列に電池と接続されていることが分かるかどうかがポイントである。B問3はローレンツ力に関する基本問題である。問4エは大小が問われているが,立式したうえで考えると容易である。
A問題の問2の正答率は低かった。導体の形にとらわれず,誘電体の配置に注意して考えればよい。問2の図3はQとRに電池につながれていない端子がついているので,それに惑わされた答案も散見された。つまり,閉じた順路:電池→P→Q→R→S→電池があることに気が付くかどうかがポイントである。問3のイにおいて,運動エネルギーを比較しているのが,面Sと電極Qの2か所であることに注意。
第3問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
A |
10 |
水面波のドップラー効果 |
普通 |
6.57 |
65.7% |
B |
10 |
光の干渉 |
やや易 |
7.28 |
72.8% |
計 |
20 |
|
普通 |
13.85 |
69.3% |
A問1はドップラー効果の公式の導出で1度は同様な計算をしたことがあるはずである。ただし,今回のように説明文を読み図を用いて考えることが不慣れであると戸惑うかもしれない。また,イは振動数ではなく,周期を求めていることもポイントである。問2は波源が移動するので波長がもとの3/4倍になることに気が付けば難しくはないであろう。B問3はヤングの干渉実験の基本問題である。縞の間隔を表す式を導出してから考えるとよい。問4もニュートンリングに関する基本問題である。
問2の正答率が低かった。この問いは,波源の移動後の波長が元の何倍になっているかを解答群から選ぶ問題である。波の伝わる速さと波源の速さの差は3V/4なので,波長は3/4倍である。問4の正答率も少し低かった。(9)を選択している誤答があった。干渉条件の式で点Pでの光学距離が大きくなるので,点Pまでの明環の数mが増えることになる。よって,同じmに対する半径は小さくなることに注意。
第4問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
A |
10 |
小物体の衝突と円運動 |
普通 |
6.94 |
69.4% |
B |
10 |
力のつり合いと運動方程式 |
普通 |
6.94 |
69.4% |
計 |
20 |
|
普通 |
13.88 |
69.4% |
A問1は衝突の基本問題である。問2は最高点に達するためには,点Pでの垂直抗力が0以上であればよい。これも非等速円運動の基本問題である。B問3は,小球1と小球2にはたらく力を図示し,つり合いの式を解くだけである。問4は,糸を離した直後,ばねの長さがつり合いのときと同じであることに注意して運動方程式をそれぞれ立てるだけである。どの設問も基本問題であり,易しい。
第4問の中では,問2の正答率が低かった。(2)の選択肢を選んでいる誤答が多かった。これは,力学的エネルギー保存則だけを考慮したときの条件である。正しくは,さらに円筒面から受ける垂直抗力が常に0以上であるという条件が付き,垂直抗力が最小となる点Pでの条件を向心方向の運動方程式から考える必要がある。問4の正答率も少し低かった。手を離した瞬間,ばねから受ける力を忘れて(3)を選択した答案があった。
第5問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
計 |
15 |
浮力と気体の状態変化 |
普通 |
9.35 |
62.3% |
問1は,容器と気体を一体と考えて,浮力と重力のつり合いを考えることが出来ればよい。問2は水深l_2での大気と水からの圧力が容器内の圧力と等しいこと,容器が上昇し始めるので,垂直抗力が0となることに気が付くかどうかがポイントである。ただし,難易度はやや高く差がつきやすい問題である。問3はボイル・シャルルの法則を用いればよい。容器内の気体の体積が図1と同じであることに気づく必要がある。やや難の問題である。
問2の正答率が低かった。水深hでの水からの圧力はρhgであり,さらに大気圧のp_0が加わることになる。この和と気体の圧力p_2が等しくなることに注意が必要である。問3は容器が浮かび上がる直前は図1の場合と同じということを問題文から読み取らなければならない。
第6問 配点 |
出題内容・テーマ |
難易 |
平均点 |
得点率 |
計 |
15 |
原子核と放射線 |
普通 |
10.25 |
68.3% |
問1は原子核反応では,質量数の和が保存し,原子番号の和が保存していることに注意。また,α崩壊は1回あたり質量数が4減少することに注意すれば,崩壊回数は難なく求まる。問2は質量欠損に光の速さの2乗をかけたものが結合エネルギーであることがポイントである。問3はα線は電場の向きに曲げられ,β線はα線とは逆,またγ線は電場からの影響がないということは,放射線の基本事項である。どの問も基本問題である。
問1,問3の正答率は高かったが,問2の正答率が低かった。質量欠損は,陽子2個と中性子2個の質量の和からヘリウム原子核の質量を引いたものである。その質量欠損に光速の2乗をかけたものが結合エネルギーとなる。
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