>>2017年センター試験分析へ戻る
更新日時:2017/01/16 17:45  (集計:---)

2017年度センター試験:日本史B 分析

やや易化、グラフ・表が大幅に減少し「解きやすい」傾向に

出題形式は空欄補充問題・正誤問題・時代整序問題と例年通りであったが、本年はグラフ・表が大幅に減少したことから、多くの受験生が「解きやすい」と感じたのではないだろうか。出題範囲も縄文時代から戦後史は1960年代までにとどまった。難易度は平年並からやや易化したと言えるため高得点を確保したい内容であった。
 
年度 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011
平均点   65.6 62.0 66.3 62.1 67.9 64.1
前年比(点)   3.6 -4.3 4.2 -5.8 3.8 2.6
 
設問数
(マーク数)
第1問 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6)
第2問 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6)
第3問 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6)
第4問 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6) 6(6)
第5問 4(4) 4(4) 4(4) 4(4) 4(4) 4(4) 4(4)
第6問 8(8) 8(8) 8(8) 8(8) 8(8) 8(8) 8(8)
合計 36(36) 36(36) 36(36) 36(36) 36(36) 36(36) 36(36)

以下の平均点、得点率の数値は赤マル・ドットコム自動採点データに基づいて計算しています。

(「難易」は「得点率」を元にしています。昨年度試験との比較ではありません。)
第1問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
A 8        
B 8        
16        
第1問は例年会話文形式で出題されていたが、今年度は手紙形式であり東アジアと関係を軸に原始時代から昭和戦前期まで広範囲にわたって出題されていた。分野は外交・文化が中心で問4・問5で地図や図版が使用されるなど例年の形式が踏襲されていた。問5は図版を使用した時代整序問題でこれまであまり見られなかった形式であることから、やた戸惑ったかもしれないが、図版の上に記されている文章をしっかり分析すれば問題なかっただろう。全体的に基本・標準問題が大半を占めていたのでケアレスミスを避け確実に得点したい問題であった。

第1問の得点率は6割を切ったことから、やや苦戦した様子をうかがうことができる。問1は正答率が高くなりやすい空欄補充形式問題であったが、約40%と不本意な結果でった。「江戸時代初めにオランダやイギリスの商館が置かれた地」を「平戸」と正しく判断できなかったことが要因だ。また、問5の図版が使用された時代整序問題ははその出題形式に戸惑ったのか約50%にとどまった。

第2問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
A 8        
B 8        
16 古代、思想・信仰と政治・社会との関係      
第2問は古代の思想・信仰をテーマに政治・文化史が中心であった。地図・グラフ・表などの視覚教材は1題も出題されず、比較的とりかかりやすい問題であったといえよう。問2・問3・問5は受験生は苦手とする文化史を含ん内容であったため解答が分散したことが予想される。問6は地方支配から土地制度について問われていたが公営田が設定される場所や、記録荘園券契所から11世紀後半の後三条天皇を想起したい。難易度は「易」であるため確実に得点したい。

第2問の得点率は60%前半と大問6題中,5番目と今ひとつ伸び悩んだ印象だ。問2・問3・問5はいずれも7割の正答率を確保し,しっかり対応できていた。問2は選択肢分に文化史も含まれていたが柔軟性のある思考力を発揮できたとようだ。その一方、土地制度史をテーマとした問6は約45%と5割を割り込んだ。このテーマに対する苦手意識を払拭できていなかったといえよう。

第3問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
A 8        
B 8        
16 中世、政治・社会・文化      
第3問は中世の政治・社会・文化といった頻出テーマが出題されていた。第2問と同様に視覚教材は出題されずオーソドックスな出題形式であった。問2は史料の読み取り形式で、通史の正しい知識と史料内容を融合させて正答を導き出したい。例年、時代整序問題は時代と時代が比較的離れている傾向が顕著であるが、問3の場合、それぞれの史実における間隔があまりないだけにやや難しく感じられたかもしれない。同じ設問のなかに政治・外交・文化など異なるテーマが目立つため、多角的視野から歴史を分析する力が求められているといえよう。

第3問の得点率は約65%と及第点を与えることができよう。正答率の幅が下は40%から上は90%と出来・不出来の差が大きく安定性に欠けた結果となった。問3の時代整序問題は非常に短文であっただけにヒントが少なく「やや難」の印象を受けたであろう。40%前半の正答率であった。問5の語句選択の組み合わせ問題は90%を確保し中世の社会経済に対する習熟度の高さを感じることができた。

第4問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
A 8        
B 8        
16 近世、文化・政治・社会      
第4問は江戸時代の文化・政治・社会に関する問題であった。問1から問5までは取りこぼしのないようにしたい。問3の図版にともなう人物と事績を組み合わせる問題では教科書・図版集に必ず掲載されている菱川師宣の「見返り美人図」と尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」が出題されていた。一方、問6の時代整序問題では「宝暦事件」と「明和事件」の順序を問う、やや難といえる問題であった。宝暦や明和といった和年号から正しい時代の順序を導き出したい。

第4問の得点率は約70%と大問6題中,最高の数字であった。受験生の解答も大きく分散することはなく安定していた。問3の近世文化史の場合、誤答(4)が3割弱にのぼったことから『舟橋蒔絵硯箱』の作者を正しく判断できなかった受験生が多かった。問5の史料読み取り問題は正答率80%半ばを確保した。「注」にある内容を冷静に分析し資料文に整合させて正解を選択できた証拠であろう。

第5問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
12 近代、大坂(大阪)      
第5問は例年、大問6題中もっとも設問数が少なく、本年も4題にとどまった。出題内容は幕末から明治期の大坂(大阪)をテーマに政治・社会・産業が中心であった。ずべて基本・標準的な難易度であったと考えられるが、問4は住友は払下げを受けていないことと、福岡県に所在した三池炭鉱は三井に払い下げられたことから判断したい。後者は戦後のエネルギー革命に起因する三井・三池炭鉱争議からも正誤を判断できるだろう。問題を解く際には狭い視野にとどまることなく通史で学んだ知識をフル稼働させることが大切である。

第5問の得点率は約65%と第3問と同水準の結果であった。大久保利通について問うた問3は標準的な問題であったが正答率は50%半ばにとどまった。「大久保利通」を「長州藩出身」と誤った知識から誤答(1)を選択した受験生が2割にも及んだ。問2の2文の正誤組み合わせ問題は70%後半と好調で幕末の民衆動向をしっかり理解できていた。

第6問 配点 出題内容・テーマ 難易 平均点 得点率
A 9        
B 9        
C 6        
24 近代-現代、公園      
第6問は近現代の公園をテーマに政治・外交・経済・文化と出題分野が多岐に及んだ。昨年は1970年代まで出題されたが、本年の場合、本文の内容からは1960年代まで見られるも、設問内容は1950年代までに限られたため「拍子抜け」した受験生も多くいたことだろう。本文Bの下に図版が掲載されたが、直接的に設問内容には関係なかった。問6で統計表をともなう問題が出題されたが、この1題にとどまり近年のセンター試験日本史Bで出題数が目だっていた「棒グラフ」や「折れ線グラフ」を使用した問題は皆無であった。

第6問の得点率は60%後半と第4問に次ぐ好成績であった。明治期の出版や文化に関して問うた問5は誤答(1)・(4)を選択した受験生はそれぞれ20%前半,20%後半にものぼった。近現代文化に対する「弱さ」を露呈する結果となった。問2の表を用いた正誤問題は選択肢文に「農業協同組合」といた戦後史に修得する「やや難」の用語が登場したが慌てずに対応できていたようだ。

編集・著作:ジェイシー教育研究所
ページのトップへ戻る